2022.02.19

実は構造計算ソフトを理解できていない建築士

構造のこと

実は構造計算ソフトを理解できていない建築士

構造計算をしている設計者の中にはソフトの中身がわからずに数字だけを入れてただソフトに計算させるだけという建築士も案外います。それではソフトに使われるだけで、良い設計はできません。私たちは計算書の数字の意味を一つ一つ理解して、何か不自然な点があれば計算上OKであっても、そして審査で合格していたとしても、検証し改善する姿勢を貫いています。先日も計算をしていて床の重量の入力を縮めたら、なぜか、全然関係ない場所の片持ち梁が計算NGがとなりました。おや?重量が減り地震力が増えるわけではないから、偏心率でも悪くなってそれが影響しているのか??と思って計算書を出力して計算を見返していたら、なんと、入力とは違う数値が使用されて計算がされていました。なんでかな?と計算ソフトのサポートセンターに問い合わせてみると、計算ソフトには「ソフトのくせ」みたいな部分があるということがわかりました。このくせを理解していないと今回のような結果になるそうです。なんじゃそりゃ…。ただ、おそらくこのくせを理解せずとも審査機関はOKを出すと思います。なぜならば審査をする側には計算ソフトの中身である「f(x)=Answer」の右の項と変数xしか確認するすべがないからです。fという関数の意味はブラックボックスで、すべて正しいことをしていると理解されています。もちろん、ほとんどの場合はOKなのですが、たまに、おや?と頭をひねらせる探求心と基礎的知識がなければいつまでもソフトに扱われるだけの設計者で、何百ページもある構造計算書を作っても価値が半減してしまいますね。
​​​​​